関東二校の卒業生が熱く語る
卒業生座談会

3. エポック授業って、どうだった?

司会:エポック授業の話題が出ました。浦上先生、エポック授業を簡単にご説明いただけないでしょうか。

浦上:うちの学校の場合は8時半に授業が始まって、始めにいろいろな連絡があって、そのあと10時15分までひとつの教科の学びを2~4週間毎日続けていきます。これをエポック授業と呼んでいます。坂本さんもそうでしたが、他の学校に転校して行った子がいちばん懐かしいと思うのが、このエポック授業の形式なんですね。1時間くらいで次の教科に移って、また翌日には別のことを学ぶという学びだと、「今から面白くなるところなのにもう終わり? 来週まで授業がないのに」という物足りなさを感じたそうです。

「他の学校ってどんなところ?」と学園の子どもたちに聞かれたときに、「エポック授業がなくて、毎日専科の授業みたいな時間割なんだよ」と言うと、「えー、それはいやだ」と言います。エポック授業が終わると一日が終わるくらいの充実感が、彼らにはあると思います。エポック授業がなくなったとき、どんな感じだったのか聞いてみたいですね。

坂本:エポック授業は105分間です。105分間、生徒も集中して学び続けられるほど充実した面白い授業なんですね。当然、先生方の準備はものすごいものなんですけれども。それが毎日ですから、学ぶ内容の濃さは違ってきます。3週間数学をやって、次の3週間古典をやって、それでは忘れてしまうのではないかと言われることもありますが、また次に数学のエポックが戻ってきたときに振り返ると、試験を1回やってハイ終わりという学びより、学びが積み重なっていくような感覚があると思います。

9年生になってからは、エポック授業の年間計画表が配られるのですが、それを見たときに「この古典の授業は楽しみだな」とか、「この有機化学はあまり得意じゃないから不安だな」というように見通しが立つ。1年間、自分がどんなことを勉強していくのかがよく分かります。一般の高校では105分連続で授業を受けることはないですから、どうしても1コマ1コマ消化していく感じで、あまり深い学びには至らないように思います。

司会:松浦さんはどうですか。

松浦:毎朝同じ科目をやるので、頭を切り替える必要がないし、その学びが3週間ずっと継続している実感はあったと思います。その分、エポックの時間の学びをノートに自分で清書するという宿題があります。シュタイナー学校では教科書がないので、教科書を自分たちでつくるんです。その作業を通してもう一度エポック授業を振り返り、翌朝に挑むという感じです。思考が分断されることがないから、その分深まったと確かに思います。

司会:3~4ヶ月、あるいは半年という長い期間を経て、またその教科を学ぶときに思い出せましたか。

松浦:時間はかかってましたね。かかってましたけど、前につくったエポックノートを見返すと、「ここはこうだったな」と自分で書いてるから思い出しやすかったです。印刷された教科書だったら、そう簡単には思い出せなかったでしょうね。教室でノートに描いているときのエピソードなども含めて思い出していた気がします。「蝶のこの部分の色、苦労したな。口吻(こうふん)の長さはこのくらいだったな」みたいな思い出し方をするんですよね。

司会:エポックノートというのは、いろいろな教科の内容をノートにつくっていくわけです。そのエポックのテーマを文章や絵でまとめていくと、自分だけの教科書になるのですね。他の皆さんにとって、エポックノートの印象はどうですか?

藤井:ぼくはほとんどつくっていないです。高等部からだったから。

司会:高等部はレポートですからね。

菅谷:私の場合、このやり方に慣れ親しみ過ぎていて、一度、賢治の学校を出て授業を受けたときには、教科書があるのに自分でまとめ直したりしていました。

司会:よく受験生が、参考書のようにエポックノートを書く、それで覚えると覚えやすいと言っていますね。

菅谷:センター試験のときはそれをやっていました。

一同:

【次ページに続く】

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