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【連携型教員養成講座】夏の講座2024 ご報告

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座
連携型教員養成講座2024年夏の講座を終えて
  • 開催日時 :2024年8月17日(土)、8月18日(日)
  • 会場: 東京賢治シュタイナー学校
  • 受講者数 : 67名 (登録79名/台風のためキャンセル有り)
    • 継続: 1~5期生 45名
    • 新規: 6期生 22名

2024年度夏の講座は、大型台風の接近に伴い、急遽予定を変更しながらの開催となりました。 前日に強い雨風をもたらした台風も開催初日の朝にはなんとか関東を過ぎ去り、再び広がった夏空の下、70名ほどの方々が続々と集まってくださいました。ここでは、講座の具体的な内容を一部ご紹介いたします。

初日は、この春新たに一般社団法人となった日本シュタイナー学校協会 代表の中村真理子(京田辺シュタイナー学校)による挨拶から始まりました。そこで話された「過去・現在・未来」という言葉は、この講座の期間中私の中で響き続けるものとなりました。これまでを創り上げてきてくださった者たちがあり、引き継ぎながら現在奮闘している教師たちがあり、これからを担っていく者たちがある。そうした力を一度に感じられる教員養成という場だからこそ、この言葉がより深く私の中に入ってきたのだと思います。

その後、鳥山雅代(東京賢治シュタイナー学校)による「シュタイナー教育の人間観」の講座が行われました。話はヴァルドルフ学校が創設された当初の衝動から始まり、0〜18歳の成長について、そしてメディアについて最新の脳科学の観点も踏まえて進められていきました。

午前中は、さらに「7年生の人間学」「生活科」「2〜5年生の算数」「お話」「鉱物学」と、5つに分かれて講座が行われました。中村真理子による「7年生の人間学」では『健康と栄養』がテーマでした。睡眠や皮膚、姿勢など健康にまつわる様々な観点からの問いかけとともに豊かなエピソードが語られ、話は食べ物、消化のプロセスへと深まっていきました。

午後は、「オイリュトミー」「言語造形」「水彩」「彫塑」「音楽」と、5つの芸術科目が行われました。伏見あかね(横浜シュタイナー学園)による「音楽」では、フィンガーシンバルやゴングなどの楽器やシルクのスカーフ、鞠などを使用した低学年で取り組める活動の体験と紹介、また3年生での楽譜導入前に語られる伏見先生作のお話も紹介されました。

最後は芸術科目を受けたグループごとに振り返りを行い、それを全体で共有する時間をもちました。講座の中で感じたことだけにとどまらず、なぜ自分はシュタイナー教育を学ぶのかということにまで言及され、それぞれの衝動や今後に向けた熱を分かち合う充実した時間となりました。最終日には「基礎コース」「学びのコース」を修了された方々の修了式も行われました。受講された皆さんが学ばれたことを大切にあたため発展させながら、すでにあるそれぞれの場で、そしてこれから出会う新たな場でご活躍されることを願っております。

                      文責:山下亜弓(東京賢治シュタイナー学校)

【お知らせ】日本シュタイナー学校協会は一般社団法人を設立しました

日本シュタイナー学校協会は一般社団法人を設立しました

2024年5月13日、日本シュタイナー学校協会は一般社団法人日本シュタイナー学校協会を設立し、全事業を新法人に移行いたしました。活動目的や諸事業はこれまで通り継続し、さらに、法的基盤に基づいた質保証への取り組みなどを新たに進めていく予定です。(新事業の詳細につきましては、記事 【日本での「シュタイナー」教育の名称使用権について】 をご参照ください。)

新法人移行後は、従来の正会員、専門会員に加えて、準会員、フレンズ会員を新設することで、さらに多くの仲間をお迎えして日本のシュタイナー/ヴァルドルフ教育の発展のために力をあわせていきたいと考えています。新しい会員制度の詳細および、入会の手続きについては、追って、本サイト上でご案内する予定です。新法人の定款、事業計画などの公開情報を、〔公開情報〕ページに掲載しておりますので、あわせてご覧ください。

新法人の前身となる日本シュタイナー学校協会は、2013年8月18日の協会設立以来、多くの方々のご支援により、アジア太平洋ヴァルドルフ教員会議の開催、連携型教員養成講座の構築を実現し、日本と世界のシュタイナー/ヴァルドルフ教育発展の基盤をかたちづくることができました。また、2019年には、全世界で祝われたシュタイナー/ヴァルドルフ教育100周年の記念事業を日本でも開催することができました。

これらはすべて皆様のご尽力あってのことと、心より感謝申し上げるとともに、新法人移行後もかわらぬご支援をお願い申し上げます。

法人設立担当メンバー一同

代表よりご挨拶

2013年8月の日本シュタイナー学校協会設立以来、少しずつ歩みを進めて参りました本協会は、この度一般社団法人として新たな一歩を踏み出すことになりました。これまでの温かいご支援、ご協力、心より御礼申し上げます。

現在は、協会加盟7校に加え、小規模でありますが日本のあちらこちらに全日制のシュタイナー学校がすでに設立されています。また、学童保育や支援教室、週末のクラス、教員養成講座など、シュタイナー教育を基礎とした多様な動きも広がっております。現在の混沌とした社会状況において、子どもたちの自ら考え創造していく力を養うシュタイナー教育は、大きな希望となり得るものではありますが、教員不足、資金不足など各学校、各団体の抱える課題は少なくありません。

本協会は、今回の法人化を機に、より多くの団体、人々に開かれ、その助けとなれるよう一層努力して参りたいと思います。シュタイナー教育関係者はもとより、シュタイナー教育に限らない多様な教育活動を行う方々、教育以外の社会活動を行う方々とも、つながり、学び合い、助け合い、前進していきたい所存であります。今後とも格別のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

中村真理子

法人設立にともなう事務所移転について

法人設立に伴い、2024年5月13日より事務局が以下の住所に移転しております。

一般社団法人日本シュタイナー学校協会事務局
〒226-0016神奈川県横浜市緑区霧が丘3-1-20
特定非営利活動法人 横浜シュタイナー学園 内
tel.045-489-4238
* 電話番号に変更はありません。
*メールによるお問い合わせは問い合わせフォームをご利用ください。

【お知らせ】連携型教員養成講座第6期・説明会日程

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座

連携型教員養成講座第6期・説明会日程の説明会を以下の要領で開催します。本情報は随時更新していく予定です。

  • 2024年5月31日:東京賢治シュタイナー学校の日程を更新しました。

詳しくは各校にお問い合わせ下さい。2024年度に開催する連携型教員養成講座第6期の詳しい案内はこちらで掲載予定です。

【アーカイブ】連携型教員養成講座第五期(2023年度)

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座

複雑な社会情勢の中、人間の成長を俯瞰し、 そのすこやかな成長を支え育むシュタイナー教育が より求められています。 日本シュタイナー学校協会は、教員養成の充実をめざし、 連携型教員養成講座第5期生を募集いたします。

昨年はようやく対面での開催が可能になりました。 状況によってはリモート開催となる可能性もありますが、 みなさまの学びを継続できるよう 柔軟に取り組んでまいります。

日本各地のシュタイナー学校が連携して運営する、教員としてこの教育に携わり学校を創っていこうという仲間との出会いの場へのご参加をお待ちしています。

お知らせ

※ 第5期連携型教員養成講座の申し込み受け付けは終了しました。たくさんのエントリー、ありがとうございました。(2023年5月13日)

※ 第5期連携型教員養成講座の2023年度の申し込みを2023年5月8日(月)に開始しました。

第5期連携型教員養成講座のPDF版フライヤーです。(2023年4月5日公開)

※ 第5期連携型教員養成講座説明会の日程はこちらを参照ください。(2023年3月22日更新)

※ 第5期連携型教員養成講座の2023年度の申し込みを2023年5月8日(月)に開始します。説明会の日程はこちらを参照ください。
連携型教員養成講座第5期2023年度の概要は、以下のPDF版フライヤーを印刷してご覧ください。印刷版は、日本シュタイナー学校協会事務局、または会員校より入手可能です。
2023年第5期連携型教員養成講座概要PDF(455KByte) (2023年3月27日)

その他のお知らせ

概要

「連携型教員養成講座」には大きく3つのコースがあります。

  1. 基礎コース
    教育者としてシュタイナー教育に携わり、子どもと関わっていく上で基礎となる学びのコースです。国内で行われている提携先教員養成コースに参加することで必要な単位を修得できます。

    ※ 基礎コースは「連携基礎コース」「夏の講座」で構成されます。

    ※ 基礎コースの履修期間の目安は1~2年です。

  2. 実習コース
    シュタイナー学校の教員になりたいという意志を持った方のためのコースです。基礎コース終了後、面談を経て本コースへ進むことができます。各学校で学び実習を積み、論文発表を行って、教員免許取得を目指します。

    ※ 実習コースの履修期間の目安は1~3年です。

    ※ クラス担任を目指すのか専科教員を目指すのかで、取得単位が異なります。

  3. 学びのコース
    教員免許取得を第一の目的とせず、基礎コース終了後も学び続けたいという方のためのコースです。単位換算一覧に基づき、学んだ単位を認定していきます。希望すれば面談を経て実習コースに変更することもできます。

    ※ 学びのコースの履修期間の目安は1~3年です。

受講の流れ

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座の受講の流れは以下の通りです。
*PDF版はこちらです

受講の流れ:図解 ホームベース校リスト 基礎コース説明 学びのコース説明 実習コースの説明
■ ホームベース校一覧(2023年4月現在)
日本シュタイナー学校協会加盟校(正会員校)
★ 連携型教員養成講座のホームベース校は本リストの中から選択してください。
北海道 北海道シュタイナー学園いずみの学校(学校法人)
〒049-5411北海道虻田郡豊浦町字東雲町83-2
t/f.0142-83-2630
関東 東京賢治シュタイナー学校(特定非営利活動法人)
〒190-0023東京都立川市柴崎町6-20-37
t/f.042-523-7112
シュタイナー学園(学校法人)
〒252-0187神奈川県相模原市緑区名倉2805-1
t.042-686-6011 / f.042-686-6030
横浜シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
〒226-0016神奈川県横浜市緑区霧が丘3-1-20
t.045-922-3107
東海 愛知シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
〒470-0115愛知県日進市折戸町笠寺山42-13
t/f.0561-76-3713
関西 京田辺シュタイナー学校(特定非営利活動法人)
〒610-0332京都府京田辺市興戸南鉾立94
t.0774-64-3158 / f.0774-64-3334
九州 福岡シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
〒815-0075福岡市南区長丘3丁目10-29
t/f.092-557-1751

※ ホームベース校は特別な事情を除き途中で変更することはできません。

■ 連携基礎コース一覧(2023年4月現在)
コース 各講の主催者 連携基礎コースの内容
関東A 東京賢治シュタイナー学校 教員養成基礎コース
関東B 横浜シュタイナー学園 横浜シュタイナー学園で学ぶ 教員養成講座
関東C シュタイナー学園 シュタイナー教育基礎講座
シュタイナー教育芸術アカデミー 第12期シュタイナー教育教員養成講座
関西A 京田辺シュタイナー学校 京田辺シュタイナー学校 教員養成講座
わかやまシュタイナー学園 シュタイナー治療教育基礎コース

単位の振り替えについて:連携型教員養成講座で習得する単位については、2016年度以降に国内外において実施された教員養成コースおよび講座の受講単位一覧と出席を確認できるものがあれば、申請をもって単位の振り替えが可能な場合があります。

■ 提携している教員養成コースおよび協力講座(2024年3月現在)

* 2024年度版は随時更新中です。
* 講座一覧PDFが単位換算表になっています。

地域主催団体コース名
関東 東京賢治シュタイナー学校
  • 教員養成講座ベーシックコース・ライセンスコース
  • 公開講座
[2022年5月~2024年8月]連携基礎コース関東A 講座一覧(PDF)
[2023年度]連携基礎コース関東A 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
東京都立川市柴崎町6-20-37
TEL:042-523-7112 / FAX:042-523-7113
https://www.tokyokenji-steiner.jp/2022_teacher_education/
横浜シュタイナー学園
  • 横浜シュタイナー学園で学ぶ 教員養成講座
  • 横浜シュタイナー学園で学ぶ 手仕事教員養成講座
  • シュタイナー学校の英語 ~1年生から9年生まで~
  • 公開講座
[2023年度]連携基礎コース関東B 講座一覧(PDF)
〒226-0016神奈川県横浜市緑区霧が丘3-1-20
TEL:045-922-3107 / FAX:045-922-3107
https://yokohama-steiner.jp/?p=13265
シュタイナー学園
  • シュタイナー教育基礎講座
[2021年度]連携基礎コース関東C 講座一覧(PDF)
〒252-0187神奈川県相模原市緑区名倉2805-1
TEL:042-686-6011 / FAX:042-686-6030
https://www.steiner.ed.jp/
シュタイナー教育芸術アカデミー
  • 第12期 シュタイナー教育教員養成講座
【問い合わせ先】
〒192-0375東京都八王子市鑓水2-78-1-108
TEL:03-6869-2196 / FAX:03-6369-3898
http://steiner-jp.net/
地域主催団体コース名
東海 愛知シュタイナー学園
  • 愛知シュタイナー学園 教員養成 夏期講座
[2023年度]提携校講座・愛知 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
〒470-0115愛知県日進市折戸町笠寺山42-13
TEL:0561-76-3713 / FAX:0561-76-3713
http://aichi-steiner.org/
地域主催団体コース名
関西 京田辺シュタイナー学校
  • 京田辺シュタイナー学校 教員養成講座
[2024年]連携基礎コース関西A講座一覧(PDF)
[2024年]京田辺シュタイナー学校教員養成講座「公開講座」(PDF)
【問い合わせ先】
〒610-0332京都府京田辺市興戸南鉾立94
TEL:0774-64-3158 / FAX:0774-64-3334
オープン講座 申し込み
探究コース 申し込み
わかやまシュタイナー学園
  • シュタイナー治療教育基礎コース
[2024年度]提携校講座・和歌山 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
〒649-6434 和歌山県紀の川市中三谷742-2
https://foundation.wakayama-sg.org
地域主催団体コース名
九州 福岡シュタイナー学園
  • 田原眞樹子主催 「カスタリア( オイリュトミー・芸術)講座 」
  • シュタイナー教育者を育てる会
  • 桧原シュタイナー土曜学校主催講座
  • ほか
[2023年度]提携校講座・福岡 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
〒815-0075福岡市南区長丘3丁目10-29
TEL:092-557-1751 / FAX:092-557-1751
https://fukuoka-steiner.org/

※ わかやまシュタイナー学園はホームベース校の対象外です。

【国際連携】ドルナッハ(スイス)精神科学自由大学教育部門

お申し込み

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座第5期のお申し込み受け付けを2023年5月8日より開始しました。申し込み締め切りは5月31日です。
定員になり次第締め切らせていただきます。

  1. お申し込みをお考えの方は、各校で開催されている説明会に必ずご参加ください。
  2. 本ページにリンクを設ける申込受付ページに飛び、必要事項を入力してください。
  3. 担当ホームベース校からご連絡いたします。
  4. こちらから夏の講座のお知らせ、希望のフォームをメールにて送信いたします。
  5. 協会事務局からメールにて金額とご入金先をご連絡いたします。
  6. 入金確認をもって受付完了となります。
  7. こちらの最新情報もご確認下さい。

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座第5期のお申し込み受け付けは、定員に達したため終了いたしました。たくさんのお申し込み、どうもありがとうございました。

申込受付は終了しました

主催とお問い合わせ先

  • 主催:日本シュタイナー学校協会
    *お問い合わせはこちらのフォームからお願いします。
  • 承認:精神科学自由大学教育部門(スイス・ドルナッハ)
    日本シュタイナー学校協会による連携型教員養成プログラムは、日本での(シュタイナー教育)教員資格を得るためのプログラムで、ドルナッハ精神科学自由大学に了承されています。
    "Collaborative Teacher Training Program" by Japan Waldorf School Association is a teacher certification program valid in Japan in agreement with the Department of Education, School of Spiritual Science in Dornach.
Waldorf-100 logo

ヴァルドルフ/シュタイナー教育100周年

【後援】アントロポゾフィー医学公開小児科学講座

日本アントロポゾフィー医学の医師会主催の公開小児科学講座を日本シュタイナー学校協会は後援いたします。ゲーテアヌム精神科自由大学医学部門の前代表であり、経験豊富な小児科医である ゲオルグ・ゾルトナー氏の初めての来日講演となります。

  • 2024年5月3日(金・祝)10:00~19:30
    2024年5月4日(土・祝) 9:30~17:00
  • 講師:講師: ゲオルグ・ゾルトナー医師 Dr. Georg Soldner
    1958年ミュンヘン生まれ。 小児科専門医。 1994年よりドイツ・ミュンヘンにてアントロポゾフィー医学のグルー プ診療を行う。1993年よりドイツ・アントロポゾフィー医師協会 (GAÄD)理事、2013年より同アカデミー代表。 アントロポゾフィー医学の講演や出版において長年の経験を持つ。 2023年までゲーテアヌム精神科学自由大学医学セクション代表。
  • 詳細情報は日本アントロポゾフィー医学の医師会のページでご確認ください。
  • 主催:日本アントロポゾフィー医学の医師会
    後援:日本アントロポゾフィー看護協会,アントロポゾフィー に基づく日本薬剤師会協会,アントロポゾフィー音楽療法士の会,日本オイリュトミー療法士協会,アントロポゾフィー に基づく絵画造形療法士の会,日本シュタイナー学校協会

【書籍】教育芸術を担う『シュタイナー学校の教師たち』

本書の序文には「神秘のヴェールに包まれたシュタイナー学校の教師たちの姿に迫ること」を目的として執筆されたと記されています。教育実践が記載された書籍は多数出版されていますが、それらを実践している教師の実像に迫る内容は、シュタイナー学校のホームページに掲載された教師へのインタビュー記事以外はなかなか見ることができません。

このような記事はとても興味深いものも多く、生の声を聞くことができる非常に貴重な存在です。本書では、大学で教育学の基礎理論に関する講義を担当されている筆者によるインタビューの内容が数多く掲載されています。しかも、その内容の解説・分析がかなりのボリュームで掲載されています。そのため、今までにはないとてもユニークで貴重な本になっています。

こちらは、シュタイナー学校の教師を目指している方はもちろんのこと、シュタイナー学校への子どもの入学を検討されている方もとても興味を持って読み進めることができます。

なぜなら、前者にとっては、現役教師の来歴となる22の物語や教員養成の過程の具体的なエピソードに触れることでき、さらに長年教師の卵を送り出してきた筆者の経験に基づく的確な付加情報があるからです。 

後者にとっては、自分たちの子どもが長い間学ぶことになる学校の教育観を実体のある教師の生の声から聞くことができ、さらにその教師たちの学び続ける姿勢や態度についてもうかがい知ることができるからです。

もちろん、教師に求められることを実現するための困難さや現在に至るまでの失敗の例も述べられており、全てがうまく順調に事は進むわけではありません。

しかしながら、少なくとも本書により、シュタイナー学校の教師が神秘のヴェールから姿を現し、より解像度の高い状態でその姿に迫ることができるようになった事は、とても大きな成功であるといえるのではないでしょうか。

内容紹介

著:井藤 元
発行年月:2023年11月30日
刊:ナカニシヤ出版、A5、248ページ、2,750円(税込)

第1章 教師たちの来歴-22 の物語

  1. 4つの類型
  2. 学生時代を終えて、すぐに教員養成課程に進んだ教師たち
  3. 社会人経験のある教師たち
  4. 公立学校での教員経験のある教師たち
  5. 社会人経験あるいは公立学校での教員経験があり、かつ保護者としてシュタイナー学 校に関わった経験がある教師たち
  6. 22 の物語から見えてくること 

第2章 教師たちの修行時代―教員養成課程での経験

  1. 徒弟的な学び
  2. 威光模倣の対象との出会い
  3. 魂の在り方の変容
  4. シュタイナー思想を「高次の本能」として落とし込む
  5. 教師のタイプの複数性
  6. 目に見えない存在にアクセスする
  7. 偶然の出会いに身を委ねる
  8. メンター制度について
  9. 伝承とオリジナリティ
  10. 終わりなき探究

第3章 シュタイナー学校の教師に求められること

  1. シュタイナー思想を信じる必要があるか――開かれた態度を保つ
  2. シュタイナーの教育理論は実践を読み解くためのヒント
  3. 自己教育の重要性――変わり続けてゆくこと
  4. 子どもに対して畏敬の念を持つ
  5. 長期的展望のもとで子どもの姿を捉える――教師たちの射程
  6. 子どもの魂を満足させる授業――授業の生命線を見つける
  7. 授業の即興性をめぐって――教職的なスキルの必要性
  8. 同僚性に支えられた教師たちの成長
  9. 教師自身も自由に
  10. 新卒でシュタイナー学校の教師はつとまるのか

第4章 醍醐味と困難

  1. 教師の仕事の三つの特徴
  2. 再帰性について
  3. 不確実性について
  4. エポック授業のメリット
  5. 不確実性を呼び込む
  6. 無境界性について
  7. 教員会議の無境界性
  8. 授業準備の無境界性
  9. 長期休暇の過ごし方
  10. 学年末の通信簿

付録 国内で受講できるシュタイナー学校教員養成講座

  1. 日本シュタイナー学校協会 連携型教員養成講座
  2. 日本各地の教員養成講座
    1. 東京賢治シュタイナー学校教員養成講座
    2. 横浜シュタイナー学園で学ぶ教員養成講座  
    3. 京田辺シュタイナー学校教員養成講座  
    4. シュタイナー学園で学ぶ教員養成講座 
    5. どの講座が自分に合うのか 
  3. 教員養成講座受講者の体験談

【重要なお知らせ】日本での「シュタイナー」教育の名称使用権について

2024年4月、日本シュタイナー学校協会は一般社団法人格を取得する予定で準備を進めております。この法人を基盤に、日本社会でより責任ある活動を展開していくとともに、世界のシュタイナー/ヴァルドルフ教育運動との連携も充実させてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、それにあわせて、新法人が「シュタイナー」を名称に含む教育機関の商標の日本国内におけるライセンサーとなる予定です。この件について、以下に詳細をご案内いたしますので、関係する団体様はご一読いただきたくお願い申し上げます。

1919年にシュタイナー/ヴァルドルフ教育がドイツで始まってから、世界中の国々にこの教育が広がってきた歴史は希望に満ちたものですが、多様な地域に1,000以上の教育活動が広がる中で、ときに適切でない活動にこの教育の名称が使用されるということも生じました。また、シュタイナー/ヴァルドルフ教育という名称が広く知られるようになり、この名称の下に実践される教育が、その名称から期待される実質と乖離することがないよう、質保証の必要性が高まってきました。

そのような背景から、ドイツのヴァルドルフ学校連盟(Bund der Freien Waldorfschulen)は、教育分野における「ヴァルドルフ」および「シュタイナー」という名称使用の法的権利を、ドイツ国内だけでなくこの教育が広がる国々においても取得することで、名称使用権を用いた質保証の仕組みを何十年も前から構築してきたのです。

この名称使用権の管理は、2016年に国際シュタイナー/ヴァルドルフ教育フォーラム(International Forum for Steiner/Waldorf Education、以下IF)および国際シュタイナー/ヴァルドルフ幼児教育協会(International Association for Steiner/Waldorf Early Childhood Education、以下IASWECE=イアスヴェーケ) とドイツ・ヴァルドルフ学校連盟で取り交わされた合意にもとづき、IFおよびIASWECEが執行権を有しています。また、それぞれの国にシュタイナー/ヴァルドルフ教育を代表しうる協会(法人)がある場合には、その協会(法人)がドイツ・ヴァルドルフ学校連盟からライセンスを受け、名称使用権を用いたシュタイナー/ヴァルドルフ教育の質保証に責任をもつという方向性が確認されています。
Transfer of licence rights to national organisations of Rudolf Steiner and Waldorf School associations(IF)

この流れを受け、日本シュタイナー学校協会は、日本国内における名称使用権のサブライセンスをドイツ・ヴァルドルフ学校連盟から受託することを2022年に合意しました。2024年4月の法人設立を経て、一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会と連携しながら、名称使用権を用いた質保証の仕組みを構築していく予定です。

この名称権を用いた質保証については、IFおよびIASWECEとともに以下の方向性を確認しています。

  • この名称権を用いた質保証は、教育現場の状況に即した透明性ある運用を心がけ、官僚的で杓子定規なものにならないよう注意深く行う。
  • 上記のような運用が担保されるよう、評価は経験豊かな教育者に委任され、2016年5月17日にフランス・アルルのIF会議で承認された「ヴァルドルフ教育の基本的特徴」および日本独自の指針に基づいて評価を行う。評価者は、個人の見識に基づいた自由な評価を保障される。
  • 上記の如何にかかわらず、すでに「シュタイナー」を含む名称を5年以上継続して使用している団体は、その名称をそのまま継続して使用することができる。その場合にも、日本シュタイナー学校協会または日本シュタイナー幼児教育協会と関係を結び、互いに顔の見える関係を維持することが推奨される。

以上が概略となりますが、さらなる詳細は、一般社団法人日本シュタイナー学校協会が正式に名称使用権のサブライセンスを受託した後に公開いたします。

最後に、この名称使用権を用いた質保証の取り組みは、シュタイナー/ヴァルドルフ教育運動を個々の教育現場がともに支えあい、発展させていくという、より包括的な私たちの目的の一領域であることを確認して締め括らせていただきます。

2024年1月22日
日本シュタイナー学校協会
代表 はた りえこ

【書籍】『教育観を磨く』 子どもが輝く学校をめぐる旅

日本能率協会マネージメントセンター社より、「教育観を磨く」という本が2023年12月に刊行されました。 サブタイトル「子どもが輝く学校をめぐる旅」にもあるように、特徴ある4つの学校をめぐり、教育観を磨く「旅」を著者たちと一緒に体感できる内容です。

まず、各学校の概要と訪問の記録、そして各学校の道先案内人となる教員の来歴や教育実践に至る経緯の紹介があります。これを前提に、著者である井藤氏と苫野氏によるディープなインタビューが繰り広げられるため、あたかもそこに同席しているような感覚で読み進めることができます。

教員を目指す方のみならず、教育関係に携わっている方、入学や編入を考えられている保護者の方にもお薦めします。

本書で紹介されている学校は以下の4校です。

  • 北九州子どもの村小学校・中学校(福岡県)
  • 伊那市立伊那小学校(長野県)
  • 三河サドベリースクール・シードーム(愛知県)
  • 横浜シュタイナー学園(神奈川県)

シュタイナー教育のナビゲーターは横浜シュタイナー学園クラス担任の長井麻美です。

「人生の課題を応援すること」、「その時期の子どもの成長に必要な栄養がある」など教育観やシュタイナーの人間観などをインタビューで引き出していただきました。

内容紹介

『教育観を磨く ー 子どもが輝く学校をめぐる旅』 著:井藤 元 、苫野 一徳、小木曽 由佳 刊:JMAM A5・232ページ 2,200円+税

旅立ちの前に
はじめに
第1章 北九州子どもの村小・中学校~一人ひとりがみんなと自由に~
第2章 伊那市立伊那小学校~子どもは自ら求め、自ら決め出し、自ら動き出す~
第3章 三河サドベリースクール・シードーム~自分のことは自分で、みんなのことはみんなで
第4章 横浜シュタイナー学園~子どもは自分の課題をもって生まれてくる~
学校概要、学校訪問記、ナビゲーター紹介
横浜シュタイナー学園に至るまで
ドイツへの旅立ち
8年間一貫担任を肌で感じる
日本での経験
人間は一回だけの存在か
人生の課題を応援すること
シュタイナー学校の教師になる前に
横浜シュタイナー学園の実践で感じること
守られた学びの空間
保護者の理解
シュタイナー教師の佇まい
発達段階にふさわしい栄養
一斉授業と一人ひとりの個性
シュタイナー教育のエッセンス
第5章 教育観を磨くということ
おわりに

著者の一人である井藤氏の著書は以下でも紹介しています。

・シュタイナー学校の道徳教育
https://waldorf.jp/100th/moral-education/

・マンガでやさしくわかる シュタイナー教育入門
https://waldorf.jp/100th/comic001/