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【連携型教員養成講座】夏の講座2025 ご報告

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座
連携型教員養成講座2025年夏の講座を終えて
  • 開催日時 :2025年8月15日(金)、8月16日(土)
  • 会場: 横浜シュタイナー学園
  • 受講者数 : 69名 (登録80名)
    • 継続: 1~6期生 64名
    • 新規: 7期生 16名
    • コース修了者 基礎21名 学び13名
    • 認定者 専科教員認定 3名

2025年の夏の講座は、去年のような台風の心配こそありませんでしたが、厳しい残暑が続く中の開催となりました。開催校である横浜シュタイナー学園は徒歩10分くらいの距離に2つの校舎が分かれている学校です。受講する科目によっては炎天下の校舎移動を余儀なくされる受講者がいらっしゃることが確実な状況があり、暑さが少しでも和らぐことを期待していたのですが、そうはなりませんでした。

そんな酷暑にも、お盆の真っただ中というスケジュールにもかかわらず、70名を超える受講者がそれぞれの活動拠点から講座への期待を胸に抱きながら足を運んでくださいました。

早朝の十日市場校舎オイリュトミー室。日本シュタイナー学校協会代表の中村真理子(京田辺シュタイナー学校)が、集まった受講者、講師陣、スタッフを前にして開会の辞を述べました。その中で大変印象に残った言葉がありました。

「ここにいる1期から7期までの受講者の皆さんは、『この二日間、しっかり学んで帰ろう!』と熱い思いをもって集っていらっしゃいますね。講座に参加すると、聞いたことを忘れまいと、ノートに向かってたくさん書こう、一生懸命に記録を取ろうとしますよね。けれども大抵、文字の記録は後で読み返されることもなく(笑)埋もれて薄れていってしまいがちです。ですから、この二日間はどうぞノートを取ることばかりに気を取られず、今自分は何を感じ取ったのかと自問し、今を大事にしながら参加していただきたいと思います。」

この場で得られるものの中にはいわゆる「知識」だけでなない「何か」があるはずだ、と示唆した言葉が、この二日間の通奏低音となって響いていたように思います。

ここで、二日間の学びをざっと振り返ってみます。

まず、全員が受講する基調講演は、中村重郎(なかむらしげお・京田辺シュタイナー学校)による「シュタイナー教育の人間観」でした。「シュタイナー教育のどんなところが良いと思いますか?」という問いから発した二日間は、あるときは問答形式で参加者全員の意識を呼び覚まし、またあるときは小さなグループディスカッションで活発に意見交換をし、集まってきたキーワードを全体に返し、またそこから考察を深める、という重郎先生が編み出したいわゆる「高等部様式」の講義でした。言葉の意味や言葉と言葉のつながりをあれこれ考え、発見し、ワクワクし、また途中の脱線話にも心惹かれ、いつの間にか肝心の「人間の構成要素とは?」「子どもの成長を助ける大人の役割」など深い考察へと導かれていきました。全員参加型のこの講義について完全なノートを取れた者はおそらくいなかったのではないでしょうか。

講義の締めくくりには、重郎先生が二日かけて話した内容があっという間に完璧な形で文字に現れる「チャットGTP」の機能に触れ、「ではこの二日間の講義はAIに代わってもらえばよかったのか?」と会場に問いかけると、全員が首を横に振りました。「知識」だけではない「何か」を、この場を共有したわたしたちは感じ取ったのです。

基調講演後はそれぞれが二つの講座を選択し、分かれて学びました。

午前は、シュタイナー教育のメインレッスンやクラス運営に関係する「リズム」「5年生以上の数」「気質」「地理」「物理」の5つの講座に分かれました。

「地理」では、菅谷真理子(東京賢治シュタイナー学校)がシュタイナーの文献から地理という分野が様々な学びの中心になりうるほど、子どもを世界と出合わせる最適な教科であることを確認した後、具体的な、まるで目の前に風景が浮かぶような描写からある地方を詳述し、地形や河川の様子、気候、植生から次第に人々の生活に近づいていき、その土地で暮らす人々の工夫や苦労の歴史を学ぶことを米どころ新潟県のある地方の例で実際に体験しました。

「物理」では教室を黒い紙で覆いつくした手作りの暗室の中で、神田昌実(横浜シュタイナー学園)による、6年生から8年生までの光学の授業について、実験を交えて学びました。「実験って、こんなにワクワクするものなのですね。」と生徒になりきったような笑顔の受講者の姿が印象的でした。

午後は4つの芸術的科目「音楽」「黒板画」「水彩」「言語造形」と体育的科目「ボートマ体操」の中からひとつ選択できました。


日本ではまだなじみの薄い「ボートマ体操」は角野友子(横浜シュタイナー学園)が指導しました。

締めくくりの会ではボートマを選択した受講者が円周に立ち、リズミカルに美しく両腕を前後左右に広げながら動く、オイリュトミーとはまた一味違った身体芸術を披露してくれました。

同じく発表の時間に言語造形を選択した受講者たちは(講師 根岸初子:シュタイナー学園)、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の一節を3つのチームに分かれて朗誦しました。それぞれが創意工夫を凝らしていましたが、何に留意して語るのかによって、こうも印象が違って聞こえるのか、と、これもまたノートに書き記すことのできない経験をしたことと思います。

こうして猛暑の中、熱心な学び手と講師との共同作業の成果が二日目に分かち合われたあと、今期で「基礎コース」「学びのコース」を修了した受講者への修了証の授与がありました。さらに今年は嬉しいことに、「専科実習コース」から三人の修了者があったことが報告され、全員から温かい拍手で祝われました。

連携型教員養成講座-夏の講座2025-はこうして盛会のうちに幕を閉じました。会の終わりには、朝の会で伏見あかね(横浜シュタイナー学園音楽専科)の指導の下、練習していた“Da Pacem Domine”を4部で輪唱しました。80回目の終戦記念日に開催された夏の講座にふさわしい平和への祈りと隣人愛に溢れた調和のある響きが、日本のとあるシュタイナー学校の空間に厳かに響き渡ったことも、ノートに記すことはできないでしょう。

各自がそれぞれの使命を担って働くその場所で、この二日間の、文字の記録では残しえない何か内なる力につながるものが働くことを、心から願っています。

文責:長井麻美(横浜シュタイナー学園)

【お知らせ】5つの準会員校が仲間として加わりました

2025年3月30日(日)、ルドルフ・シュタイナーが64歳のその生涯を終えた100年の記念日に、一般社団法人日本シュタイナー学校協会の2025年度定時社員総会が行われました。この記念すべき日に、以下の準会員校をお迎えすることができました。

  • おひさまの丘宮城シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
  • 千葉シュタイナー学園グリーンスクール(特定非営利活動法人)
  • わかやまシュタイナー学園(一般社団法人)
  • ふくやまシュタイナー学園(一般社団法人)
  • 沖縄シュタイナー学園(子どもと先生を元氣にする会 一般社団法人)

上記5校の情報を組織構成ページに追加しました。

社員総会の様子

とても気持ちのよい春の午後、100年前、そして100年間の年月に思いを馳せながら、この出会いに感謝して、シュタイナーの箴言の朗読に皆で耳を傾けました。

Finsternis, Licht, Liebe

Dem Stoff sich verschreiben
Heißt Seelen zerreiben
Im Geiste sich finden
Heißt Menschen verbinden
Im Menschen sich schauen
Heißt Welten erbauen

闇、光、愛
 
物質に自分を委ねれば
魂は引き裂かれてしまう
霊の中に自分を見出せば
人と人とは結びつく
人々の中に自分をみつめれば
世界が築かれる

(ルドルフ・シュタイナー)

【アーカイブ】連携型教員養成講座第6期(2024年度)

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座

複雑な社会情勢の中、人間の成長を俯瞰し、そのすこやかな成長を支え育むシュタイナー教育がより求められています。
日本シュタイナー学校協会は教員養成の充実をめざし、 連携型教員養成講座第6期生を募集いたします。

2023年は初めて関東以外の地、京田辺シュタイナー学校で夏の講座が行われ、全国の様々なシュタイナーの学校を体感できる機会となりました。
今年はまた関東で開催されますが、日本各地のシュタイナー学校が連携して運営する、教員としてこの教育に携わり学校を創っていこうという仲間との出会いの場へのご参加をお待ちしています。

お知らせ

※ 第6期連携型教員養成講座の2024年度の申し込みを2024年5月6日(月)に開始しました。

第6期連携型教員養成講座のPDF版フライヤー(6MB)です。(2024年3月31日公開)

その他のお知らせ

概要

「連携型教員養成講座」には大きく3つのコースがあります。

  1. 基礎コース
    教育者としてシュタイナー教育に携わり、子どもと関わっていく上で基礎となる学びのコースです。国内で行われている提携先教員養成コースに参加することで必要な単位を修得できます。

    ※ 基礎コースは「連携基礎コース」「夏の講座」で構成されます。

    ※ 基礎コースの履修期間の目安は1~2年です。

  2. 実習コース
    シュタイナー学校の教員になりたいという意志を持った方のためのコースです。基礎コース終了後、面談を経て本コースへ進むことができます。各学校で学び実習を積み、論文発表を行って、教員免許取得を目指します。

    ※ 実習コースの履修期間の目安は1~3年です。

    ※ クラス担任を目指すのか専科教員を目指すのかで、取得単位が異なります。

  3. 学びのコース
    教員免許取得を第一の目的とせず、基礎コース終了後も学び続けたいという方のためのコースです。単位換算一覧に基づき、学んだ単位を認定していきます。希望すれば面談を経て実習コースに変更することもできます。

    ※ 学びのコースの履修期間の目安は1~3年です。

受講の流れ

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座の受講の流れは以下の通りです。
*PDF版はこちらです

受講の流れ:図解 ホームベース校リスト 基礎コース説明 実習コースの説明 学びのコース説明
■ ホームベース校一覧(2024年7月現在)
日本シュタイナー学校協会加盟校(正会員校)
★ 連携型教員養成講座のホームベース校は本リストの中から選択してください。
北海道 北海道シュタイナー学園いずみの学校(学校法人)
〒049-5411 北海道虻田郡豊浦町字東雲町83-2
t/f.0142-83-2630
関東 東京賢治シュタイナー学校(特定非営利活動法人)
〒190-0023 東京都立川市柴崎町6-20-37
t.042-523-7112 / f.042-523-7113
シュタイナー学園(学校法人)
〒252-0187 神奈川県相模原市緑区名倉2805-1
t.042-686-6011 / f.042-686-6030
横浜シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
〒226-0016 神奈川県横浜市緑区霧が丘3-1-20
t.045-922-3107
東海 愛知シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
〒470-0115 愛知県日進市折戸町笠寺山42-13
t/f.0561-76-3713
関西 京田辺シュタイナー学校(特定非営利活動法人)
〒610-0332 京都府京田辺市興戸南鉾立94
t.0774-64-3158 / f.0774-64-3334
九州 福岡シュタイナー学園(特定非営利活動法人)
〒811-1246 福岡県那珂川市西畑1022-2
t/f.092-408-8028

※ ホームベース校は特別な事情を除き途中で変更することはできません。

※ わかやまシュタイナー学園は協力講座の開催をしますが、ホームベース校には指定できませんのでご注意ください。

■ 連携基礎コース一覧(2024年7月現在)
コース 各講の主催者 連携基礎コースの内容
北海道 北海道シュタイナー学園 いずみの学校 いずみの学校 担任教師養成プログラム
関東A 東京賢治シュタイナー学校 教員養成講座ベーシックコース・ライセンスコース
関東B 横浜シュタイナー学園 横浜シュタイナー学園で学ぶ 教員養成講座
関東C シュタイナー学園 シュタイナー学校教員養成講座、シュタイナー教育基礎講座
関西A 京田辺シュタイナー学校 京田辺シュタイナー学校 教員養成講座

単位の振り替えについて:連携型教員養成講座で習得する単位については、2016年度以降に国内外において実施された教員養成コースおよび講座の受講単位一覧と出席を確認できるものがあれば、申請をもって単位の振り替えが可能な場合があります。

■ 提携している協力講座および公開講座(2024年9月現在)

* 2024年度版は随時更新中です。
* 講座一覧PDFが単位換算表になっています。

地域主催団体コース名
北海道 北海道シュタイナー学園 いずみの学校
  • シュタイナー教育基礎講座
(掲載予定)
【問い合わせ先】
〒049-5411 北海道虻田郡豊浦町字東雲町83-2
t/f.0142-83-2630
https://hokkaido-steiner.org/
NPO法人 人智学共同体ひびきの村ミカエルカレッジ
  • NAA (自然と芸術とアントロポゾフィー/シュタイナー教育教員養成 1年目) コース
(掲載予定)
〒052-0001 北海道伊達市志門気町6−13
https://hibikinomura.org/?page_id=61
地域主催団体コース名
関東 東京賢治シュタイナー学校
  • ベーシックコース・ライセンスコース
[2024年度]基礎連携コース関東A 「ベーシックコース・ライセンスコース」講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
東京都立川市柴崎町6-20-37
TEL:042-523-7112 / FAX:042-523-7113
https://tokyokenji-steiner.jp/kamoku/
横浜シュタイナー学園
  • 第五期教員養成講座
  • 手仕事教員養成講座 第3期
  • シュタイナー学校の英語 ~1年生から9年生まで~
  • 公開講座
[2024年度]連携基礎コース関東B 講座一覧(PDF)
〒226-0016 神奈川県横浜市緑区霧が丘3-1-20
TEL:045-922-3107 / FAX:045-922-3107
https://yokohama-steiner.jp/?p=13265
ルドルフ・シュタイナーハウス
  • オイリュトミー集中―教員養成アドバンスト講座
【問い合わせ先】
https://www.steiner-jp.net/お問い合せ
http://steiner-jp.net/
地域主催団体コース名
東海 愛知シュタイナー学園
  • 愛知シュタイナー学園 教員養成入門講座
  • ほか
[2024年度]提携校講座・愛知 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
〒470-0115 愛知県日進市折戸町笠寺山42-13
TEL:0561-76-3713 / FAX:0561-76-3713
http://aichi-steiner.org/
地域主催団体コース名
関西 京田辺シュタイナー学校
  • 《 公開講座 》は当校のWebサイトにてご確認ください
[2024年]連携基礎コース関西A講座一覧(PDF)
[2024年]京田辺シュタイナー学校教員養成講座「公開講座」(PDF)
[2024-2025年]京田辺シュタイナー学校教員養成講座「公開講座」(PDF)
【問い合わせ先】
〒610-0332 京都府京田辺市興戸南鉾立94
TEL:0774-64-3158 / FAX:0774-64-3334
公開講座 申し込み
探究コース 申し込み
わかやまシュタイナー学園
  • シュタイナー治療教育基礎コース
[2024年度]提携校講座・和歌山 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
〒649-6434 和歌山県紀の川市中三谷742-2
https://foundation.wakayama-sg.org
地域主催団体コース名
九州 福岡シュタイナー学園
  • 公開講座
  • シュタイナー教育者を育てる会 (シュタイナー幼児教育者養成コース)
  • 桧原シュタイナー土曜学校 「 講座 」
  • 田原眞樹子主催 「カスタリア( オイリュトミー・芸術)講座 」
[2024年度]提携校講座・福岡 講座一覧(PDF)
【問い合わせ先】
〒811-1246 福岡県那珂川市西畑1022-2
TEL:092-408-8028 / FAX:092-557-1751
https://fukuoka-steiner.org/

お申し込み

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座第6期のお申し込み受け付けを2024年5月6日より開始しました。申し込み締め切りは6月30日です。
定員になり次第締め切らせていただきます。

  1. お申し込みをお考えの方は、各校で開催されている説明会に必ずご参加ください。
  2. 本ページにリンクを設ける申込受付ページに飛び、必要事項を入力してください。
  3. 担当ホームベース校からご連絡いたします。
  4. こちらから夏の講座のお知らせ、希望のフォームをメールにて送信いたします。
  5. 協会事務局からメールにて金額とご入金先をご連絡いたします。
  6. 入金確認をもって受付完了となります。
  7. こちらの最新情報もご確認下さい。

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座第6期のお申し込み受け付けは、定員に達したため終了いたしました。たくさんのお申し込み、どうもありがとうございました。

申込受付は終了しました

主催とお問い合わせ先

  • 主催:日本シュタイナー学校協会
    *お問い合わせはこちらのフォームからお願いします。
  • 承認:精神科学自由大学教育部門(スイス・ドルナッハ)
    日本シュタイナー学校協会による連携型教員養成プログラムは、日本での(シュタイナー教育)教員資格を得るためのプログラムで、ドルナッハ精神科学自由大学に了承されています。
    "Collaborative Teacher Training Program" by Japan Waldorf School Association is a teacher certification program valid in Japan in agreement with the Department of Education, School of Spiritual Science in Dornach.
Waldorf-100 logo

ヴァルドルフ/シュタイナー教育100周年

【お知らせ】連携型教員養成講座第7期・説明会日程

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座

連携型教員養成講座第7期・説明会日程の説明会を以下の要領で開催します。本情報は随時更新していく予定です。

詳しくは各校にお問い合わせ下さい。2025年度に開催する連携型教員養成講座第7期の詳しい案内はこちらで掲載予定です。

【ご挨拶】2025年のはじまりに

中村 真理子(日本シュタイナー学校協会 代表理事)

新年、明けましておめでとうございます。

昨年中は、一般社団法人として新たな一歩を踏み出した当協会に、各方面からお心を寄せていただきありがとうございます。

本年は協会の活動をより具体的に展開し、日本各地に育っている、また芽吹きつつあるシュタイナー教育事業をわずかなりとも支援していくことを目指してまいります。そして、この教育運動が、シュタイナー教育に関心を持つ人だけのものでなく、広く社会のため、すべての子どもたちのためとなるよう心がけ、開かれた姿勢と責任ある行動を心がけ活動していきたいと思います。

世界各地から聞こえてくる厳しい状況はあまりにも悲惨で、太刀打ちできない大きすぎる困難のようにも感じられます。けれど、世界で起こる出来事は身近な出来事の延長にあるものであり、私たち一人ひとりの精神のありようと無関係ではないはずです。だから時間はかかっても、私たちの中に変えていく力もあるはず。そう信じて、ともすると落ち入りそうになる「無力感」に抵抗していきたいと思うのです。

いやされるのは 唯一
一人ひとりの心の鏡に
共同体全体が 映し出されるときである。
そして 共同体の中に
一人ひとりの力が生きるときである。
  (ルドルフ・シュタイナー)

圧倒的に思われる困難の中でも
心の鏡を閉じることなく、曇らせることなく、
自分の力を信じ、他人の力を信じて、
できることを一つ一つ積み重ねていきたい。
身近にある小さな成長が世界全体の歩みにもつながることを信じて、
皆さまとともに一歩一歩、努力を重ねて参りたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2025年1月7日

【連携型教員養成講座】夏の講座2024 ご報告

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座
連携型教員養成講座2024年夏の講座を終えて
  • 開催日時 :2024年8月17日(土)、8月18日(日)
  • 会場: 東京賢治シュタイナー学校
  • 受講者数 : 67名 (登録79名/台風のためキャンセル有り)
    • 継続: 1~5期生 45名
    • 新規: 6期生 22名

2024年度夏の講座は、大型台風の接近に伴い、急遽予定を変更しながらの開催となりました。 前日に強い雨風をもたらした台風も開催初日の朝にはなんとか関東を過ぎ去り、再び広がった夏空の下、70名ほどの方々が続々と集まってくださいました。ここでは、講座の具体的な内容を一部ご紹介いたします。

初日は、この春新たに一般社団法人となった日本シュタイナー学校協会 代表の中村真理子(京田辺シュタイナー学校)による挨拶から始まりました。そこで話された「過去・現在・未来」という言葉は、この講座の期間中私の中で響き続けるものとなりました。これまでを創り上げてきてくださった者たちがあり、引き継ぎながら現在奮闘している教師たちがあり、これからを担っていく者たちがある。そうした力を一度に感じられる教員養成という場だからこそ、この言葉がより深く私の中に入ってきたのだと思います。

その後、鳥山雅代(東京賢治シュタイナー学校)による「シュタイナー教育の人間観」の講座が行われました。話はヴァルドルフ学校が創設された当初の衝動から始まり、0〜18歳の成長について、そしてメディアについて最新の脳科学の観点も踏まえて進められていきました。

午前中は、さらに「7年生の人間学」「生活科」「2〜5年生の算数」「お話」「鉱物学」と、5つに分かれて講座が行われました。中村真理子による「7年生の人間学」では『健康と栄養』がテーマでした。睡眠や皮膚、姿勢など健康にまつわる様々な観点からの問いかけとともに豊かなエピソードが語られ、話は食べ物、消化のプロセスへと深まっていきました。

午後は、「オイリュトミー」「言語造形」「水彩」「彫塑」「音楽」と、5つの芸術科目が行われました。伏見あかね(横浜シュタイナー学園)による「音楽」では、フィンガーシンバルやゴングなどの楽器やシルクのスカーフ、鞠などを使用した低学年で取り組める活動の体験と紹介、また3年生での楽譜導入前に語られる伏見先生作のお話も紹介されました。

最後は芸術科目を受けたグループごとに振り返りを行い、それを全体で共有する時間をもちました。講座の中で感じたことだけにとどまらず、なぜ自分はシュタイナー教育を学ぶのかということにまで言及され、それぞれの衝動や今後に向けた熱を分かち合う充実した時間となりました。最終日には「基礎コース」「学びのコース」を修了された方々の修了式も行われました。受講された皆さんが学ばれたことを大切にあたため発展させながら、すでにあるそれぞれの場で、そしてこれから出会う新たな場でご活躍されることを願っております。

                      文責:山下亜弓(東京賢治シュタイナー学校)

【お知らせ】日本シュタイナー学校協会は一般社団法人を設立しました

日本シュタイナー学校協会は一般社団法人を設立しました

2024年5月13日、日本シュタイナー学校協会は一般社団法人日本シュタイナー学校協会を設立し、全事業を新法人に移行いたしました。活動目的や諸事業はこれまで通り継続し、さらに、法的基盤に基づいた質保証への取り組みなどを新たに進めていく予定です。(新事業の詳細につきましては、記事 【日本での「シュタイナー」教育の名称使用権について】 をご参照ください。)

新法人移行後は、従来の正会員、専門会員に加えて、準会員、フレンズ会員を新設することで、さらに多くの仲間をお迎えして日本のシュタイナー/ヴァルドルフ教育の発展のために力をあわせていきたいと考えています。新しい会員制度の詳細および、入会の手続きについては、追って、本サイト上でご案内する予定です。新法人の定款、事業計画などの公開情報を、〔公開情報〕ページに掲載しておりますので、あわせてご覧ください。

新法人の前身となる日本シュタイナー学校協会は、2013年8月18日の協会設立以来、多くの方々のご支援により、アジア太平洋ヴァルドルフ教員会議の開催、連携型教員養成講座の構築を実現し、日本と世界のシュタイナー/ヴァルドルフ教育発展の基盤をかたちづくることができました。また、2019年には、全世界で祝われたシュタイナー/ヴァルドルフ教育100周年の記念事業を日本でも開催することができました。

これらはすべて皆様のご尽力あってのことと、心より感謝申し上げるとともに、新法人移行後もかわらぬご支援をお願い申し上げます。

法人設立担当メンバー一同

代表よりご挨拶

2013年8月の日本シュタイナー学校協会設立以来、少しずつ歩みを進めて参りました本協会は、この度一般社団法人として新たな一歩を踏み出すことになりました。これまでの温かいご支援、ご協力、心より御礼申し上げます。

現在は、協会加盟7校に加え、小規模でありますが日本のあちらこちらに全日制のシュタイナー学校がすでに設立されています。また、学童保育や支援教室、週末のクラス、教員養成講座など、シュタイナー教育を基礎とした多様な動きも広がっております。現在の混沌とした社会状況において、子どもたちの自ら考え創造していく力を養うシュタイナー教育は、大きな希望となり得るものではありますが、教員不足、資金不足など各学校、各団体の抱える課題は少なくありません。

本協会は、今回の法人化を機に、より多くの団体、人々に開かれ、その助けとなれるよう一層努力して参りたいと思います。シュタイナー教育関係者はもとより、シュタイナー教育に限らない多様な教育活動を行う方々、教育以外の社会活動を行う方々とも、つながり、学び合い、助け合い、前進していきたい所存であります。今後とも格別のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

中村真理子

法人設立にともなう事務所移転について

法人設立に伴い、2024年5月13日より事務局が以下の住所に移転しております。

一般社団法人日本シュタイナー学校協会事務局
〒226-0016神奈川県横浜市緑区霧が丘3-1-20
特定非営利活動法人 横浜シュタイナー学園 内
tel.045-489-4238
* 電話番号に変更はありません。
*メールによるお問い合わせは問い合わせフォームをご利用ください。