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【ご挨拶】2020年のはじまりに

2020年1月25日 更新

はた りえこ(日本シュタイナー学校協会代表)

2020年、令和2年の始まりにあたって、学校協会よりみなさまへ、新しい1年の活動への希望と感謝をお伝えいたします。

今日1月25日は、旧暦の正月ではありますが、そちらに合わせたわけではありません。ご挨拶が遅れたことをお詫びします。自分のことで恐縮ですが、この何年間か、旧暦の暦が生活の中で生きている中国語圏で年末まで働き、その後すぐ、1月に行う舞台に向けて集中することがリズムになっており、今ようやく年が立ち返るのをしっかりと感じています。

昨年2019年は、ヴァルドルフ教育100周年でした。気候風土、政治・経済事情も様々な70以上の国に広がる、それぞれのヴァルドルフ=シュタイナー教育運動に関わる者たちが、共通の100年の時を自分たちの歩みに重ね、次の100年への敷居に立って心を合わせました。世界各国で繰り広げられた行事は、9月のドイツ・ベルリンでの100周年祝祭で大きく盛り上がりましたが、日本でも、8月17日から19日まで3日間にわたって渋谷の大和田地域文化センターで行われたシュタイナー教育展「世界が変わる学び」を中心として、学校協会に関わる全国の7校の協力のもと、100周年を祝うことが出来たのは、とても幸いであり、日本の私たちらしいあり方だったと感じています。支えてくださった方々、教育展で素晴らしい講演や対談をしてくださった方々、足を運んで関心を寄せてくださったみなさま、本当にありがとうございました。2月の京都、3月の愛知での教育パネル展をもって、一連の催しは終了となります。最後まで、どうぞよろしくお願いいたします。

日本のシュタイナー学校運動は、33年目に入り、シュタイナー教育を受けた卒業生、あるいは何年間かシュタイナー教育に触れた若者を、たとえ少人数であっても、社会に送り出し続けています。彼らに共通しているのは、人に向けるやわらかく開かれた表情とまなざしであるように感じます。社会の中で、シュタイナーの世界にもそのようなまなざしがないこともある、そして他の場所でそれに出会うこともある、そんな体験を重ねて、多様な考えを容れる器を大きくし、それぞれの人生行路を形作っていくことでしょう。

冒頭に触れた旧暦の暦は、大陸から伝えられてきた自然と人の生活の関わりを、長い年月をかけて日本に馴染ませ、つくりあげられたものです。その暦で行くと、私たちのカレンダーの正月は、ようやく芹が川辺に芽を吹くころ、それから雉が初めて鳴き、鶏が初めて卵を産み、季節は立春に向かっていきます。季節と時候の知恵が織りなされた暦は、美しくて賢いです。シュタイナー教育の日本での展開もそのようにありたいものです。

そして、今、私たちは、気候大変動が叫ばれている、地球の暦の声もしっかりと聞き取りたいと思います。ききとった声が、行動を促すように。

どんな時代にも、国家を越えた、人の呼吸と体温の通った交流が可能であり、それなしには時代は変わらない。そのことが改めて意識に刻まれた100周年後の最初の1年である今年、それぞれの場で働くみなさまに、よき力がいつも与えられることを心から望みつつ。

2020年2月25日 

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ヴァルドルフ/シュタイナー教育100周年