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【連携型教員養成講座】夏の講座2023 ご報告

2023年11月5日 更新

日本シュタイナー学校協会連携型教員養成講座
連携型教員養成講座2023年夏の講座を終えて
  • 開催日時 :2023年8月19日(土)、8月20日(日)
  • 会場: 京田辺シュタイナー学校
  • 受講者数 :83名
    • 継続:1~4期生 56名
    • 新規:5期生 27名

2023年度の連携型教員養成講座 夏の講座は暑い暑い京田辺市で行われました。隔年で関東エリアとその他の地方という形で行われている「連携型 夏の講座」ですが(100周年やオンラインでの開催もあり、過去は関東エリアのみ、よりによって「日本でも一番暑い」と言われる京田辺での実施となったのです。
今回は全国から83名の方々が集まって下さいました。担当の教員やスタッフも合わせると100名を超える数です。日本一暑い場所が、さらに熱気あふれる場所となりました!
歌とあいさつの後、午前は鳥山雅代さんの講座で始まりました。ここにすべてを紹介することはできませんが、印象的だった2点についてご紹介します。

受胎告知 レオナルド・ダ・ヴィンチ(ウフィツィ美術館

鳥山雅代さんはこの絵を見せながら、以下のように語ってくださいました。…シュタイナーは繰り返し、教員は霊界において為されようとしている仕事を、今、ここに引き継いでいる、という趣旨の言葉を述べています。天使ガブリエルが、マリアとマリアのおなかの中のイエスに仕えているように、私たち教員は子どもたち一人ひとりに仕えているのだ、それゆえに、子どもをそのままに、あるがままの貴いものを喪わせることの無いように、大切に育んでいくことが教員の仕事なのだ…。教員の責任の大きさを、この絵画のイメージとともに、心に受け取りました。

また今回は第3七年期以降、つまり21歳以降の人生についてもお話があり、その中でも特に56~62歳以降の時期を「ヤドカリ」としてお話しされた部分が印象的でした。…老いを迎え、肉体にも思考力にも衰えを感じるこの時期、ヤドカリのように周りが見えなくなる時期、のように見えて、実はもっとも霊的、精神的になっていく時期であり、それゆえ「老いることは、若返ること」とシュタイナーは言っているのだ、と。この言葉は、今まさに老いを感じ始めている私や同年代の教員たちには「希望の言葉」として、とても心に響きました。

午前の二部は様々な教科の学びを中心に行われました。7年生人間学、高等部の歴史と現代社会、初等中等部の数の学び、4年生動物学、それに気質論の五つの講座が行われました。


私、中村重郎の担当した高等部の歴史・現代社会では資本主義を取り上げました。人々がお金でつながっている現代社会の中で、人々は本当にお金だけでつながっているのか? 皆さんはどのように実感し、考えているのかを、様々な視点、テーマで見つめ、語りあってゆきました。私自身、皆さんの意見に大きな触発を受けましたが、それこそが高等部で目指しているものであること、つまり生徒、教員を超えて、一人の人間として意見を述べ、耳を傾け、互いに触発されながら、語りあうこと。そうして語りあう皆の輪の中心には「何か大きなイメージ、本当に大切なものが、言葉を通して造形されてゆくのだ」ということが、少しだけ出来たように感じられ、嬉しく思いました。

お昼休みを挟み、午後は芸術科目です。オイリュトミー、言語造形、リズム、白黒デッサン、音楽が行われました。



その中で音楽を受講された方からのお話では、弾丸のようなトークと弾丸のように進んでいく歌の紹介+実践で、息を継ぐ暇もなくあっという間に終わったという、熱くて内容の深い時間だった、とのことでした。安藤しおりさんからは授業についての様子の報告については、以下にご紹介します。

『芸術体験:音楽 では、2日間に渡り、1年生から7年生くらいまでのシュタイナー学校での音楽を体験しました。さまざまな楽器も交え、初日は1~3年生の”たゆたう”音世界をふんわりたっぷり堪能。2日目はだんだん”目覚めて”スキルもアップ。変拍子の合唱やギターの弾き歌いまでチャレンジしました。スタッフさんや講師の先生方も多数参加してくださって、ワイワイと楽しく「生命を育てる」響きの旅を味わいました。』

最後の振り返りの時間は全員で集まる前に7~8人くらいの小さなグループでいろいろとお話ししました。参加者の皆さんから直接言葉を頂けたのがとても良かったと、個人的には思っています。「授業が面白かった」という言葉、「芸術科目でなかなかうまくいかずに苦労しながらも、最後にはある達成感があった」こと、「苦労したことと、そのあとに来る達成感の両方に意味があると感じた」こと、「子どもたちもこうして日々意味深い時間を過ごしているのだろうな。と感じた」こと等々。そして、「こうして全国から様々な人が集まり、様々な出会いのあったことが、とても良かった」という意見も多くの方からお聞きすることが出来ました。

その後今回の参加者全員が、メイン会場であるホール2に集まり、基礎コースを終えられた方々、そして実習コースを終えられた方々の修了式を行いました。それぞれの方が一定の学びを終え、また思いも新たに学びを続けようとおっしゃって下さいました。私たちには何よりも嬉しい言葉であり、こうしてコースを運営し続けていくエネルギーを改めて頂いた思いです。

                      文責 中村 重郎 (京田辺シュタイナー学校)