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2023年4月9日 更新
オーケストラの生演奏によるオイリュトミー舞台が、日本で初めて実現します。演目はドヴォルザーク「新世界」全楽章。2024年8月の本公演を目指して練習を重ねるにもプロジェクトを、日本シュタイナー学校協会は後援いたします。
初めてオーケストラオイリュトミーを観たのは、若者たちによるベートーヴェン第五交響曲。若い命と友愛の動きが空間を満たす、まさに「運命が動く時」でした。日本で初めてのオイリュトミストたちによる公演、その実現への努力と協力は、時代の暗さに灯りをともす光です。
はた りえこ (当協会代表)
子どもの個性を引き伸ばしながら、知的な学びと同時に芸術的な力を育んでいくシュタイナー学校で、オイリュトミーは、特別大切な意味を持つ科目です。
音楽や言語を身体で表現することで、その中に潜んでいる力が花開き、子どもの一人ひとりの中に潜在する能力が活発に動き出します。しかもそれらを仲間とともに、動くことで、驚くほど、子どもの社会的能力が養われていきます。つまりオイリュトミーはシュタイナー学校において、頭と心と体のバランスを育成する運動芸術の教科なのです。
オイリュトミーの中に潜んでいるものは、彫刻芸術の中にも、絵画芸術の中にも潜んでいる形成力と全く同じ力であり、それらの力は全て、人間の人体の中から生まれた生命のプロセスなのです。その生命のプロセスが動きを通して解き放たれていくことで、育ちゆく人間がより深く芸術の中に入り、真の芸術に出会う可能性が生まれます。それは本当の自分に出会うプロセスでもあるのです。この生命のプロセスを表現するオイリュトミー芸術を舞台芸術として鑑賞することで、鑑賞者の中の創造力が刺激されます。そして鑑賞するものも同じ創造者として、クリエイティブな力を自分の中に生み出すことができるのです。
だからこそ、大人だけでなく、オイリュトミーは子どもにとって授業としてだけでなく、鑑賞する対象としても、とても大きな教育的作用をもたらすのです。しかも、舞台の上で大人数のオイリュトミストを壮大なる音楽と共に体験できる事はこの上ない大きなチャンスだと言えるでしょう。一人でも多くの方にこのオイリュトミー芸術を体験していただければ、この混沌とした時代の中でも、希望の光を私たちの中に見つけることができるでしょう。 なぜなら、オイリュトミーは「調和を持った美しいリズム」であり、調和のあるリズムから「時代を動かす原動力」を一人一人が自分の中に生み出すことができるからです。
ぜひオイリュトミー公演にたくさんの方々が足を運んでくださることを心より願います。新たな時代に向けて、創造的力をこの公演をきっかけに、私たちの中に再発見していきましょう。
鳥山雅代(当協会メンバー・東京賢治シュタイナー学校教員)