News
2017年4月1日 更新
日本で最初の学校である東京シュタイナーシューレが生まれた1987年から、2017年の今年で30年になります。ビルの一室、1年生8人からの出発でした。
30年というと、人の成長を思います。30歳は人が成人して自分の生きる職業や課題に向かってしっかりと立つ頃です。日本のシュタイナー学校も、全体としては10回12年生を送り出し、卒業生たちの社会での活動が伝えられるようになりました。あたたかさの中で育まれた彼らが、自分の命への信頼をもって、「人と世界のために何ができるだろう」と生きる姿は、私たちの希望です。
そして100年というと、世界と時代の変化を思います。1919年、第一次大戦後の激動のヨーロッパで、ヴァルドルフ/シュタイナー学校は「現代と近い未来のための学校」として誕生しました。最初の学校は20年を待たずにナチス政権下で閉鎖され、中断の時を経ながらも復興し、以来、シュタイナー教育も世界中に広がりました。
シュタイナー教育100周年-ヴァルドルフ100-は、決して100年の困難と喜びの回顧ではなく、次の1世紀に、国や民族を越えて拡がったこの教育運動は何ができるか、という問いです。
シュタイナー学校をつくる者たちは、世界中どこの国でも、直接の出会いを何より大切にします。
子どもと教員とが出会い、その橋を親に、同僚に、地域、国、そして世界へと広げていく中で、人と人との交流も、波紋のように大きく深くなります。私たちは、日々の教育に向かいながらも、近隣のアジアの学校、そして世界中の学校へと、時代の動きを感知する感覚器官をひらいていきたいと思います。シュタイナー学校から巣立つ若い人たちのように、「世界のために今自分に何ができるか」を問いながら。